我々が現実として生きているこの世界は、無と有が混在した不可思議な宇宙である。無からさまざまな有が生まれ、またさまざまな有が無に消滅している。その様は、まさに川面に浮かぶ「泡沫(うたかた)」のようであり、かつ生まれ、かつ消えているのである。
その様相は人間の生死も同様であり、朝の紅顔、夕べの骸骨であり、生きる(有)と、死せる(無)は、日々繰り返されている。
有と無は、また創造と破壊に換言される。生きている者のひいき目では、どうしても生や創造の「有」に執着してしまうが、実は対極である死や破壊の「無」こそが、探求されなければならない。
この両極を繋ぐ時空のトンネル(ワームホール)が思惟ではなかろうか・・?
私はこの稿で、対称性「Pairpole」と、その対称性の破れ「Pairpoleの狭間」について探求を進めてきたが、この世における、根源的Pairpoleとは、この「有と無のPairpole」である。
Pairpoleの狭間は、対称性が崩れた空間であり、エネルギが活性化している空間である。有と無の狭間の空間もまた同様に、無から有への発生、有から無への消滅で沸き立っている。物理学的に表現すれば、有と無のエネルギが「ゆらぎの状態」にある。
我々が生きるのは、この有と無の狭間の空間(世界)であり、我々の実相は、有でも、また無でもなく、その有と無の相転換が織りなす態様である。我々はその有と無の相転換の狭間で、「変幻自在」であり、「万能自在」である。
しかして、その相転換を制御するものが「思惟」であり、有と無の世界を繋ぐ「意識ワームホール」もまた、この思惟によって発見されるであろう。
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