編集工学を研究する松岡正剛氏は「エディット・リアリティ」という言葉を用いてこの実空間を表現する。エディット・リアリティとは「編集的現実感」とでも訳されようか。
我々が実在として感じているこの実空間はある種の「意識的編集」によって発生する世界であるとする考えである。
「お金という編集基準」でこの世界を編集すれば、その編集に応じた世界が象出し、「愛という編集基準」でこの世界を編集すれば、その編集基準に応じた世界が象出する。
実空間であるこの世は地球上に生きるすべての人の編集基準で編集された「多重的な編集世界」として存在している。編集基準を価値観と言い直せば、この状況はより理解されるであろう。
我々が目の前にする「現実」とは、意識的な価値観で編集された「エディット・リアリティ」、つまり「仮想的現実の世界」であるとするのが松岡氏の言わんとするところであろう。
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