「混濁混沌」とした「感情の集合体」は巨大な「エネルギタンク」であり、無限量のエネルギがここに保存されている。
この感情のエネルギタンクから、ある個別の感情が抽出されることにより、現実である実空間にエネルギが流れ出す。
流れ出たエネルギは「理路整然」たる意識によって制御され、この世に「森羅万象」と呼ばれる物的存在を象出させる。この実空間構築の過程は尽きることなく継続され、とどまることがない。
ゆえに、この世である現実空間の森羅万象は尽きることなく「生々流転」するのである。
実空間の構築に運用されたエネルギは実空間の森羅万象の消滅により、再び混濁混沌の感情のエネルギタンクに回帰し、保存される。
実空間の森羅万象の「物質的消滅」とは、森羅万象の意識による「過去化」である。物質的な森羅万象は実空間である刹那空間に一瞬間しか存在することができず、次々と「感情化」され、混濁混沌の感情集合体であるエネルギタンクに回帰していく。この連続作用が意識の中に「記憶」を構成し、実空間の万物事象が意識の中で「過去化」するのである。
この混濁混沌たる感情集合体エネルギが理路整然たる意識集合体エネルギに転化する過程においてもエネルギは保存される。
それは実空間における物的エネルギの転化過程を述べた物理学的な「エネルギ保存則」と等価である。つまり、「感情」と「意識」で構成された「虚空間」においてもエネルギ保存則は成り立っているのである。
「実空間の影が虚空間」であるという考え方はまた、「虚空間の影が実空間」であると還元される。この世が「虚実こもごも」と呼ばれるのはこのためである。
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