意識の速度はアインシュタインの相対性理論の光速の限界に制約されない。
相対性理論によれば、この宇宙では光速の壁を越えることはできない。
物体が光速に近づくにしたがい、重さは無限大となり、時間はゆっくり進み、光速に至ると時間は停止し、光速を越えると時間は逆戻りして過去に向かうというのが相対性理論の帰結である。
だが意識はこれらの相対性理論の帰結を軽々と突破している観がある。
意識は自由に何十億光年隔たった星雲世界へも、何十億年前の過去世界へも一瞬に移動する。つまり、空間と時間の制約に拘束されない。
唯物論的宇宙は「光速を基準」にしたアインシュタインの相対性理論の制約下で構築されているが、「意識を基準」にした唯識論的宇宙は相対性理論には制約されず、唯物論的宇宙で構築されている確固たる物質的実存が霧散してしまう。
最新の量子論では光速を越えて情報伝達する物質的粒子の存在も確認されており、アインシュタインの相対性理論も修正を迫られている。量子論は今、限りなく心理学や哲学に近づいており、物質的アプローチから意識的アプローチへとその軸足を移行しつつある。
意識はこの宇宙を縦横無尽に飛び回ることができる。
宇宙存在の主体が意識であり、その意識が投影した影が客体である物質であるとするならば、我々はいかなる時空にも象出される可能性を秘めている。それはまた宇宙物理学が述べる時空のトンネル、「ワームホール」の構造であり、アインシュタインが思考した「タイムマシン」の構造である。
「時空の巡り逢い」と表現した「世界物語」は、まさに壮大で悠久な物語でもある。
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