そうあわてる必要はない。人生において「一大事」などはそうたくさんあるわけではない。まして現代のように虚行、虚言、戯言、妄想が横行する世であってみればなおさらである。
「大変だ、大変だ」とあわてふためくことは、「ただ、ただ」疲れるのみであり、他に遅れじとなりふりかまわず、しゃかりきにアクセルをふかしてスピードを上げてみても、「迷妄せる地図帳」と「迷妄せる羅針盤」では行けるところなどあろうはずはない。
幾分ましな所へ行くことを望むならば、「そこそこ正確な地図帳」と「そこそこ正確な羅針盤」を必要とする。
急がば回れのたとえのごとく、今はゆっくりとこの地図帳と羅針盤を用意することである。しからば、「いつか」旅立ちの時は自ずとやって来るのである。
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