Linear 未知なる時空を訪ねる旅の途中でめぐり逢った不可思議な風景と出来事
知的冒険エッセイ / 時空の旅
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創造者の宿命
 社会はより多くの常識者により構成される。その常識者には常識者なりの立場があり、主張がある。創造者の主張はその常識者の立場を往々にして危うくする。この場合、その創造者の主張が正しいとか、正しくないとかは別段の意味をもたない。

 創造者が主張すれば、するほど常識者はこれに反発し、抵抗する。その主張が創造的であればあるほど、その抵抗はさらに大きくなる。創造者はこれらの反発と抵抗に対する対応でその創造的エネルギが消耗させられる。その消耗は常識者に力を与える帰結を生み、創造者の主張は結果的に馬鹿げた行為となり、徒労に至る。

 創造者にとって唯一、有効な策があるとすれば「主張」することではなく、「実行」することである。「言ってもだめなら、やってから言う」という図式である。

 創造者は創造的であるがゆえに、常識者であろうとしても、そこにとどまることができず、常識者と別の道を歩かなければならない。それは創造者としての負い目ではなく、宿命である。このことを創造者は生涯において忘れてはならないのである。

2002.8.21

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