ですから「光速一定」で考えると、今度は時間がおかしくなるんですね。
光速一定だって言った瞬間に今度は時間が伸び縮みするっていうわけですね。ですからアインシュタインの理論でいくと、ここで流れている時間とアメリカで流れている時間と月で流れている時間がみんな違います。
単純にいうと物質の重さですね、大きいところでは時間はゆっくり流れますね。ですから地球よりも太陽がもうはるかに大きな物体なわけですけども、太陽の表面では時間はゆっくり流れているわけです。
それとその空間ですね。ニュートンはその空間っていうものは一定なものだと思っている。皆さんもそう思っていると思うんですが、アインシュタインの理論でいくと、今言ったように時間も伸びたり縮んだりしますが、空間も曲がったり伸びたりするんですね。ですから一般には考えにくいわけですね。我々の周りの空間が曲がったりゆがんだり、あるいは周りの時間が伸びたり縮んだりするっていうことは非常に考えにくい。しかし、アインシュタインのこの光速一定の定義から出てきた方程式でいくとそうなってくる。
最初は誰も信じないわけですね。そのアインシュタインの理論を誰も信じない。
ところがそのアインシュタインはひとつの予言をするわけですね。その予言とは何だというと、日食ですね。太陽の前に月が来て太陽が隠れてしまう日食っていうのがあるんですが、その日食のときに太陽の後ろ側にある星を観測すれば、地球上からは太陽に隠れているはずの星が見えるんだとこう言うわけです。
(太陽と地球と星の関係を板書)
単純にいうと、こう太陽がありますね。ここに星があると。ここに地球があるとすると、光っていうのは直進する性質をもっていますからこうくるわけで、太陽にさえぎられてこの星は見えないはずなんですね。
しかし、アインシュタインはこの星は見えるとこう予言するわけです。自分の立てた「相対性理論」からするとこの星は見えると、こういうわけですね。
アインシュタインの考えはどういう考えかというと、今言ったように物質の周りでは空間はゆがんでいます。ですから「重力レンズ」っていうんですけども空間がこう曲がっているんですね。
(太陽の周りの空間の曲がりを板書)
そうすると光は直進する性質をもってますから空間の中を真っ直ぐ進むんですね。真っ直ぐ進むんですが空間が曲がっていると空間の曲がっている方向の中を通っていくんですね、こういうふうに。
(太陽の周りの曲がった空間の中を進行する光の進路を板書)
でも光はこの空間の中では全部直進しているんですね。全部直進しているんですが、空間が曲がっているんで光のルートはこういうふうに通る。
つまり太陽の周りでは空間が曲がっているということが自分の方程式の中で出てきましたんで、ある日食のときにはこの星は見えないはずなのに地球では見えますよとこう予言したんですね。
実際、イギリスのウェリントンという人が南アフリカでこの日食の観測をするわけですね。そうしたらアインシュタインの予言通り、見えないはずの星が地球では見えたんですね。
アインシュタインのこの方程式は正しいと実験によって証明されたんですね。それから世界じゅう大騒ぎになりまして、つまり20世紀ですね・・アインシュタインの「相対性理論」ということによって、20世紀の科学っていうものが、ものすごく発展してきたわけですね。
その最初の出発点になったのがこれですね。「光速一定」という定義なわけです。
つまり、皆さんも体重を持ってますから、皆さんの周りでも・・厳密にいえば皆さんの周りでやっぱり空間がゆがんでいるんですね。ですから体重が重い人は、床が歪むだけではなくて、その人の周りの空間も歪んでいる。なおかつ、その周りの時間はゆっくり進んでいるっていうことですね。
ですからやせた人よりも、太った人の周りの時間の方がゆっくり進む。ものすごい小さな話ですけどね。
だけども、こういう太陽みたいな大きなものの考えになってくると、今言ったようにかなりの時間遅れになるわけですね。
ですから太陽の周りでは時間がゆっくり進んで空間が曲がっている。これが20世紀の中で考えられてきた、宇宙の空間だとか時間ということなわけです。