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ビジョンウィンドウから眺める信濃の四季

窓の向こうに世界が見える〜信州つれづれ紀行から
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味噌川ダム(2) / 長野県木曽郡木祖村
もったいない / 望遠ウィンドウ
 湖面が全面結氷したとの新聞記事を読み、訪れた木曽川源流の最上流に位置する味噌川ダムは、着工1973年、完成1996年、工期23年を要して建設されたロックフィルダムであり、ダム湖の名は「奥木曽湖」という。木曽谷の要衝、鳥居峠を北に、野麦峠を西に控えた木祖村は、木曽の「祖(おや)」という意味で名付けられたという。その中心、中山道「薮原宿」は、現在は見る影もないが、かっては難所であった鳥居峠越えのために殷賑をきわめた宿場であり、長野県伝統工芸品「お六櫛」の産地としても有名である。やぶはら高原スキー場を左手眼下に眺めながら山道を登ると石を敷き詰めたロックフィルダムの堤体に出る。コンクリートダムとは異なり、人間の手作り感が漂うダムである。晴天に恵まれてはいてもダム湖の周囲に人影は無く、結氷が静謐な湖面に不思議な文様を描きだしていた。その手腕は天才ピカソやミロを凌駕するほどの現代アートの様相をおび、眺める観客がいないのはもったいない。それであればとカメラを担ぎ、雪道を登って見晴台に至り、その全貌を撮影したのである。
文・撮影 / 柳沢 健
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