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ビジョンウィンドウから眺める信濃の四季

窓の向こうに世界が見える〜信州つれづれ紀行から
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阿弥陀堂の里 / 長野県飯山市瑞穂
物語の風景
 北竜湖からの帰路、山を越えたすぐ南に位置する「阿弥陀堂の里」によってみた。「阿弥陀堂の里」などという呼び名はこの地にはない。映画「阿弥陀堂だより」のロケ地であるこの山里を私がかってにそう呼んでいるにすぎない。出逢った村人に教えてもらって孝夫(寺尾聰)が雪中の篝火の中で剣の舞を演じた「小菅神社、里宮の神楽殿」に行ってみた。映画の印象と異なって意外に小さいと感じた。大きく感じたのは寺尾のたぐいまれなる演技力のなせる業であったのか。さらに美智子(樋口可南子)が朝、診療所に向かうシーンが撮影された坂道、「小菅神社、奥社への参道」に向かう。約1300年の歴史を持つ杉並木に向かう急な坂道をしばらく登って振り返ると美智子が村人とおはようのあいさつをしながら坂道を下っていった姿が彷彿と浮かんだ。映画での樋口の歩き方が、なぜか「つま先だって」ぎこちなく感じたのだが、この急坂を下っていったことを考えると「さもありなん」と納得がいった。山里を下ったところにある「菜の花の丘公園」からは阿弥陀堂の里の全貌を望むことができた。この公園は隣の豊田村に生まれ、飯山市の小学校で教鞭を執っていたこともある高野辰之の作詞になる唱歌「おぼろ月夜」の舞台となったところでもある。この丘での撮影カットの大半はカメラを西方に向けて、その満開と咲く菜の花畑越しの千曲川を望んでのものであったが、まれなる東方の山里に向かって私はカメラを回した。
 撮影されたカットには孝夫と美智子が村の子供たちと遊んだ「神戸の大イチョウ」やその背後の山腹を登った高台にあるおうめ婆さん(北林谷栄)の「阿弥陀堂」も映っているはずであった。撮影しているうちに突如として夕闇迫る山里のあちこちから煙が立ちのぼる「お盆の迎え火のシーン」が甦ってきた。そのシーンはここから望遠レンズでとらえたものではなかったか「ふと」そう思った。私がここを「阿弥陀堂の里」と命名した所以である。
文・撮影 / 柳沢 健
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