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ビジョンウィンドウから眺める信濃の四季

窓の向こうに世界が見える〜信州つれづれ紀行から
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荒砥城跡 大河ドラマ「風林火山」のロケ地 / 長野県千曲市
天空の城塞
 戸倉上山田温泉の街中を突っ切り、パワーのない車ではバックしてしまいそうな急坂を一気呵成に登り上げ、たどり着いた荒砥城は、まさに名前のごとく荒々しく、城というより砦といったほうがいいような天空の城塞であった。眼下には、蛇行する千曲川が、その視線を上に移せば、対岸の山頂に村上氏の居城、葛尾城が、南に移せば、遠く真田氏の本拠地の上田原が、北に移せば、遠く武田と上杉の決戦場となった川中島が一望される。まさに絶好の物見台である。
 以上の景観を背景にした物見櫓を本郭(本丸)から眺めたカットと、その物見櫓に登り、今度は逆に本郭(本丸)を眺めたカットの2カットを撮影した。この城塞は、大河ドラマ「風林火山」のロケで使用されたものであり、劇中では武田晴信の初陣の場所「海ノ口城」として登場した。(第8回 「奇襲!海ノ口城」)
 物見櫓のうえで撮影していると、備え付けのスピーカからながれでたドラマの主題曲が風に乗ってちいさく聞こえてきた。それはひとひとりいない城塞にくまなくひろがり、やがて時空の彼方に消えていった。とりのこされた歴史は日盛りの陽をあびてしんとしている。
文・撮影 / 柳沢 健
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