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未知なる時空を訪ねる旅の途中でめぐり逢った不可思議な風景と出来事

信州つれづれ紀行 / 時空の旅
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武石アジサイ公園 / 長野県上田市武石
静謐の林間に咲く
 2011年8月以来の再会であった。 その刻の印象を 第290回 「降って沸いた訪問者」 で以下のように書いている。
 美ヶ原高原の東山麓に位置する武石唐沢の地、カラマツと杉林の中で約7000株のアジサイが人知れず奥ゆかしく可憐に咲く。 見頃は7月下旬から8月上旬とあったので、もはや時期を逸しているかと思っていたのだが、何のことはなく森閑とした林の中で一面に咲いて迎えてくれた。 だが駐車場はおろか公園のどこにも人影がないのはどうしたことか ・・ ゴミひとつなく清掃され整えられた遊歩道をひとり逍遙するのはまことにもって恐縮の至りであるとともに、このうえない贅沢な気分であった。 それを察してか ・・ 渡る風に花茎を揺らし、梢から降る野鳥のさえずりに耳を傾け、時の流れに身をまかせてぼんやりとまどろんでいた 「アジサイたち」 が、降って沸いた訪問者の登場に、俄然として生気を取り戻し、そこかしこで互いが互いに、かまびすしくおしゃべりを始めたのである。
 それから8年の歳月が経過していても彼らの息災は少しも変わることなく静謐の林間の中で今日も人知れず奥ゆかしく可憐に咲いていた。 それどころか雨に洗われた彼らの素顔はいやまして美しくなったように思えた。

2019.07


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