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未知なる時空を訪ねる旅の途中でめぐり逢った不可思議な風景と出来事

信州つれづれ紀行 / 時空の旅
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八ヶ岳自然文化園 まるやち湖 / 長野県諏訪郡原村
いまだ道筋は見えず
 八ヶ岳自然文化園には何度か訪れている。その経過を抜粋すると以下のようになる。
第 015回 / いま、会いにゆきます / 2008.6
 八ヶ岳山麓の原村にある自然公園である。知る人が少ないのか、いつ訪れても閑静な公園である。映画「いま、会いにゆきます(主演 中村獅童/竹内結子)」のロケ地ともなったところである。使用された映画のシーンはワンカットであったが、ロケ現場に残された自然のカットシーンは永遠である。
第 162回 / ささいなこと / 2010.5
 コブシの花と水芭蕉を求めておとずれた自然園は家族連れで賑わっていた。パターゴルフ場からあがる無邪気な歓声は、隣接する池に生息する魚を驚かせ、釣り人たちを嘆かせていた。だがそんなことは「ささいなこと」である。何より今日は「ゴールデンウィーク」なのであるから。
第 280回 / 涙しているよう / 2011.6
 梅雨空の下に横たわる「まるやち湖」である。八ヶ岳自然文化園にある小さな湖で、晴れていれば雄大な八ヶ岳の姿を湖面に映すことができるのだが、今日は山容が雨霧に包まれてその姿はない。3.11大震災以後、列島の自然は、どことなく張りを失い、「涙しているよう」に見えるのだが ・・ それは私だけであろうか。
 以上の記載からはなぜかいつも5月から6月に訪れていることに気づかされる。その季節になると知らずここに引き寄せられるようにして来ているようである。それは今回もまた同じであった。また注目すべきは東北大震災(2011年3月)をはさんでの風景の異なりである。その前にあったのは喜びに輝く自然の姿であり、その後にあるのは憂いに沈んだ自然の姿である。時空はいまだ期待に満ちた明日への道筋を見いだせないでいるようである。

2017.05


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