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未知なる時空を訪ねる旅の途中でめぐり逢った不可思議な風景と出来事

信州つれづれ紀行 / 時空の旅
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あんずの里 / 長野県千曲市
桃源郷のごとく
 数年も前になろうか訪れたその時も花曇りの日よりであった。桃源郷を思わせるのどかな里山に一面広がったあんずの花群は見事である。麓の臨時駐車場に車を駐めて上平展望台を目指す。展望台からは一目十万本といわれている日本一のあんずの里が一望に見渡すことができた。
 この地に杏がもたらされたのは江戸元禄期に伊予宇和島藩主伊達宗利候の息女豊姫が松代藩主真田幸道候に輿入れした折りに故郷の風情をしのぶよすがにと杏の種を持参したのが始まりといわれ、その後、松代藩の殖産で今日の姿となったものであるという。
 遠く瀬戸内の伊予宇和島の地に咲いた杏が雪深い信濃の地に新たな命を継いでかくこのように咲くさまは豊姫が担ったそれからの運命を彷彿とさせるかのような風景である。

2017.04


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