Linear
未知なる時空を訪ねる旅の途中でめぐり逢った不可思議な風景と出来事

信州つれづれ紀行 / 時空の旅
Linear

松本城公園 / 長野県松本市
晩秋の烏城
 松本城は国宝5城のひとつである。ちなみにあとの4城は姫路城、犬山城、彦根城、松江城である。前回(第461回)で掲載した真田氏の居城である上田城は櫓のみで天守がなかったが松本城には見るも秀麗な天守が備わっている。国宝たる所以であろう。
 12月に入った休日の昼下がり、散歩がてらに松本城公園を訪れた。晩秋の斜陽に照らされた漆黒の城塞は強いコントラストで異彩を放っている。築城400年、歳月の重さであろうか。徳川家康の重臣でありながら豊臣秀吉に寝返った石川数正が秀吉から命じられた松本城の築城にあたって忠誠の証として壁面を漆黒にしたと言われている。別名は「烏城」である。
 城の色には謂われがあって、白か黒かは築城に際して徳川家康と豊臣秀吉のどちらが関わったかで決まっているという。家康が関わった城(姫路城や宇和島城等)では白い城となり、秀吉が関わった城(大坂城や松本城等)では黒い城となるという。白はあらゆる光を反射し、黒はあらゆる光を吸収する。家康と秀吉の性格の違いが反映された結果であろうか。
2016.12

copyright © Squarenet