Linear 未知なる時空を訪ねる旅の途中でめぐり逢った不可思議な風景と出来事
知的冒険エッセイ / 時空の旅
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日本沈没〜国は愚によって滅ぶ
 第1418回 「二律背反の帰結」 ではコロナ禍における感染対策と経済対策にふれて以下のように書いている。
 世界は今、感染対策と経済対策の狭間で揺れている。このふたつの対策は相容れない対策であって両者はともに並び立たない。全くの 「アンビバレント(二律背反)」 である。この状況を表現するに、ある者は 「アクセルとブレーキを同時に踏むようなもの」 と言い、またある者は 「暖房と冷房を同時に入れるようなもの」 と言う。 A を採れば B が成り立たず、B を採れば A が成り立たない。この数学をいかに解くのか? まさに難問である。
 だが難問だからといって手をこまねいてはいられない。現実世界の胎動は生々流転してひとときもとどまらない。事態の展開は時間の矢にしたがって進むだけであって戻ることはない。決断の道筋は3通り。 その1、A を採る。 その2、B を採る。 その3、どちらも採らない。 日本の政策は、どうやら 「その3」 を採るらしい。 その1やその2の道筋は当たればいいが外れた場合の責任は重大であって、よほどの者でなければ採り得ない。 その3の道筋は言うなれば 「何もしない」 と宣言しているようなものであって、それを政策と言うかは適正を欠く。
 このような状況で、古人は数々のことわざをのこしている。 曰く、「二兎を追う者は一兎をも得ず」。 「命あっての物種」 等々。 先人の知恵からすれば自ずと採る道筋は見えてくるというものである。
※)二兎を追う者は一兎をも得ず
 2羽の兎を同時に捕まえようとする者は、結局は1羽も捕まえられないということわざ。2つの物事を欲張ると、どちらも失敗したり、中途半端に終わるものである。また、ひとつの物事に集中せずにあちらこちらに気を取られることへの戒めを込めて使うことも多い。
※)命あっての物種
 「何事も命あってこそだ」 ということわざ。 死んでしまっては元も子もないという警句。物種とは 「物事の根源となるもの」 を指す。
 「二律背反の帰結」 を書いたのは遡る5ヶ月前、7月14日のことである。 帰結は巡りめぐって今やその惨状は崖っぷち状態である。 二兎を追って一兎をも得なかった者は、今度は命あっての物種とばかりに遁走に精を出している。 国は愚によって滅ぶ の警句がいよいよ真実味をおびてきた。 曰く、「日本沈没」 である。

2020.11.21


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