新型コロナウイルス感染拡大における対策として 「新たなライフスタイル」 が提唱されている。 そのコンセプトは 「三密を避ける」 という行動様式である。三密とは人と人との 「密集を避ける」 ことであり、「密接を避ける」 ことであり、「密閉を避ける」 ことである。それはともに近代文明の繁栄を支えた経済活動を基とする社会システムの否定を意味している。 繁栄を支えた原因がまた感染症拡大の原因でもあるという二律背反の矛盾である。 新たなライフスタイルとはかくなる二律背反を解消するものでなければならない。それは三密を避けた在宅勤務としてのテレワークであり、地方への分散（移住）であり、経済重視から生活重視への価値観の転換であり ・・ 試行錯誤は続いているが、いまだこれといった決め手とはなっていない。

　かくなる惨禍の到来は予想されていたことではあるが、いざ目の前の事実として突きつけられるとあわてふためくだけで有効な対策を打ち出すことができない。それどころか「愚策を連発」し続け、それがうまくいかないとなると今度は「無為無策に終始」して身をすくめているばかりである。 こうなると庶民にとっての明日への算段は 「なるようにしかならない」 という諦観に至ってしまうのは必然の流れであろう。 だが問題は「なるようにしかならない」という諦観の先に行き着く世界がいかなるものかということである。