Linear 未知なる時空を訪ねる旅の途中でめぐり逢った不可思議な風景と出来事
知的冒険エッセイ / 時空の旅
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パワーシフト〜人間力への回帰
 原始人が住んだ世界は闇が闇としてのこされていた 「深さのある世界」 である。 他方、現代人が住む世界は闇が消失してしまった 「深さのない世界」 である。 当然にして深さのある世界に住んだ原始人の人格は「重層的で重厚」であったはずである。 他方、深さのない世界に住む現代人の人格は「表層的で浅薄(薄っぺら)」になる必然性を帯びている。 途中経過を飛ばしてその人格の違いを還元すれば 「原始人は人として信頼できるが、現代人は人として信頼できない」 ということに集約される。 人として信頼されないことは人間にとっては「致命的」である。 民衆をしてときの総理大臣を支持できない理由が 「人間性が信頼できないから」 という世論調査の結果は、この国の未来にとって、あるいは致命的な帰結を表象しているのかもしれない。
 とまれ、今まさに危機に瀕している国が目指すべき眼目は、GDP(国内総生産)の増大ではなく、信頼に足る国民の総数の増大である。 より端的に言えば 「経済力から人間力へのパワーシフト」 である。

2020.07.25


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