Linear 未知なる時空を訪ねる旅の途中でめぐり逢った不可思議な風景と出来事
知的冒険エッセイ / 時空の旅
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信じる者は救われる
 想像と現実を冷静に 1 対 1 に当量に量ることができれば 「超一流の人間」 であろうが、それを 「即身の秘術」 だとすれば、凡人は救われない。 がゆえに空海は 「人間は生まれながらにして仏である」 と宣言したのである。 換言すれば 「人間は生まれながらにして超一流である」 ということである。 ここのところは法然の 「南無阿弥陀仏」 と唱えるだけで極楽往生が約束されるという教えと相通じる。 成否の分かれ目はそれを 「信じるか」、「信じないか」 にある。 言うなれば、俗に世にいう 「信じる者は救われる」 という信仰心への帰依である。 だが信じなさいといわれたからといって 「はいそうですか」 と信じる者の数は希少であろう。 深く考える者であってみればなおさらである。 唯識の頂点を極めた最澄にして最後まで空海を信じられなかった事実がそれを物語っている。
 即身の秘術が 「鰯の頭も信心から(いわしのあたまもしんじんから)」 では何ともしまらない話であって、最澄が信じなかったのも無理からぬことで分からぬでもない。 だがそれだからこそ、いやそれがゆえにこそ、「大いなる秘術」 なのである。 馬鹿と天才は 「紙一重」 とは言い得て妙である。

2020.06.25


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