Linear 未知なる時空を訪ねる旅の途中でめぐり逢った不可思議な風景と出来事
知的冒険エッセイ / 時空の旅
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現代情報社会の真相(3)〜大いなる矛盾
 現代情報社会の真相(2)では、意識を土台にして構築されている現代情報社会は物質を土台にして構築されている宇宙と同様な宇宙的存在として実存しているのかを思考した。 しかしてその成否は 「大いなる賭け」 であるとし、終局において 「あれはすべて錯覚の産物でした」 などとならないことを願うのみであると結んだ。
 しかし、確固たる宇宙存在であるとする物質宇宙にも不安がないわけではない。 それは 「物質宇宙に内在する 宇宙の果て はどうなっているのか?」 という究極の謎が解明されていないことに帰因する。 物質世界を記述する物理学はその謎の解明を迂回して構築されている。 ビックバン宇宙論、インフレーション宇宙論、多世界宇宙解釈 ・・ 等々、さまざまな解決策が考案されてきたが、そのどれもが人間の意識から導かれた唯識論に逸している。 唯物論で構築された物質宇宙の謎を解明するのに唯識論を使うとあっては 「大いなる矛盾」 であろう。
 かかる経緯はベストエッセイセレクション 「唯識の消失点〜神の存在証明」、「時空の消失点〜時間も空間もない世界」 に詳しい。
 ここでこれまでの論考を単純な記述に還元すれば以下のように総括される。
 物質宇宙(唯物論)を追求すると意識宇宙(唯識論)に至り、意識宇宙(唯識論)を追求すると物質宇宙(唯物論)に至る。
 物質と意識は古来より 「一元論か二元論か」 で論争されてきた課題であるが、いまだ明確な回答は出されていない。 時空の消失点とはまた 「物質と意識の消失点」 でもある。 まさに宇宙は般若心経が教える 「色即是空 空即是色」 の世界のようである。 「あると思うとない ないと思うとある」 とは言い得て妙である。

2019.05.18


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