Linear 未知なる時空を訪ねる旅の途中でめぐり逢った不可思議な風景と出来事
知的冒険エッセイ / 時空の旅
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現代情報社会の真相(1)〜大いなる欠落
 現代情報社会では自らを 知ってもらうこと にエネルギの大半を費やしている。 自らとは自己であり集団としての組織であり会社でもある。 費やすエネルギとは自己や自社のPRであり、広告であり、宣伝等々である。 かかる社会動向には肝心なことが忘れられている。 それは自己や自社を 「知ってもらう」 ことにのみに執心しているだけで、その主体である自己や自社を 「知る」 ことにはほとんど失念していることである。 他者に知ってもらおうというエネルギと同等のエネルギを自らを知ることにも費やさなければ事態は片手落ちであって物事は完結しない。 それは 「敵を知り己を知れば百戦殆うからず」 という孫子の兵法からも明らかである。
 他者に語りかける熱心さで自らにも語りかけなければ事態の真実は見えてこない。 哲学と言えども他者を救うものであるとともに自らを救うものでなくては本当の哲学とはいえない。 自らの履歴(学歴等)が他者に誇るものだけであっては学業の意味はない。 自らを納得させ自らの誇りとなってはじめて学業は意味をもち成就するのである。 しかしながら現代社会の様相は他者に諂い装う者ばかりであって自らの空白を嘆く者は数少ない。 現代情報社会に潜在する 「大いなる欠落」 の真相である。
※)敵を知り己を知れば百戦殆うからず (孫子)
 敵と味方の実情を熟知していれば百回戦っても負けることはない。 敵情を知らないで味方のことだけを知っているのでは勝ったり負けたりして勝負がつかず、敵のことも味方のことも知らなければ必ず負ける。

2019.05.16


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