Linear 未知なる時空を訪ねる旅の途中でめぐり逢った不可思議な風景と出来事
知的冒険エッセイ / 時空の旅
Turn

想像と創造〜意識のゆらぎ
 想像と現実をひとつにする 「即身への道」 は結局、心の在りように収束する。 楽しく想えば楽しく。 苦しく想えば苦しい。 要は 「いかに想像を制御するか」 にかかっている。 この制御が自在にできるようになれば、人間はあらゆる束縛から解放され完全な自由を獲得できるであろう。
 そのための秘訣は 「想像を制御すれば束縛から解放され自由を獲得できる」 という道理を常に忘れずに正念に据えることである。 邪念生まれれば、即正念に戻し、陰気生ずれば、即陽気に転換してそれを常住とすることである。
 だが今の今の即身で 「想像」 を制御できても、人間存在としての 「実存」 は半分しか達成されない。 あとの半分は 「創造」 にかかっている。 「想像」 は、何となく浮かんでくる 「漠然とした思い」 であるが、「創造」 は、強い意志を働かせて作動する 「何ものかを生む思い」 である。 人間が万物の霊長と言われるのであれば、この 「想像」 と 「創造」 の2つの思いを自在に制御するところにこそ理由がある。
 実存は今の今の刹那にしか存在しない。 人生とはその今の今を継続したものである。 想像はともすれば実在しない過去と未来に向かって思いを飛翔させてしまう。 言うなればそれは 「仮想」 である。 その仮想から脱するには 「創造すること」 である。 その 「クリエイティブ」 な思いこそが、新たな世界の扉を開く鍵である。 だが今の今は、仮想としての想像に支配されがちである。 その支配からの脱出を可能にする創造とはあたかも未知なる宇宙に至る 「時空のトンネル(ワームホール)」 のような働きをする。 不可能と思われたことも可能となり、思わぬ世界が象出することになる。
 畢竟。 想像と創造は似て非なるものである。 想像とは 「受動的な思い」 であり、創造とは 「能動的な思い」 である。 想像は意識を 「過去・未来へと飛翔」 させ、創造は意識を 「新たな世界へと飛翔」 させる。 実存は今の今である刹那宇宙で実現されるが、意識はその刹那の狭間で、想像から創造へ 創造から想像へ とゆらぎ、目まぐるしく瞬いている。 刹那宇宙における、無と有の 「物質ゆらぎ」 もままならないが、想像と創造の 「意識ゆらぎ」 もまた相当にままならない。

2018.11.08


copyright © Squarenet