Linear 未知なる時空を訪ねる旅の途中でめぐり逢った不可思議な風景と出来事
知的冒険エッセイ / 時空の旅
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自由主義の終焉
 「貴方は自由だ 私は自由だ」 という自由主義社会を支える資本主義経済は市場における需要と供給によって全ては制御されるという 「ケインズ経済学」 がその骨格を成している。 だが最近の世相からはこの経済学が成立しているのか否かかが判然としない。 これだけ金融緩和を実施しても、言うなればこれだけ大量に貨幣を市場に供給してもいっこうに 「インフレする気配」 がない。 ケインズ経済学の説くところからすれば 「ハイパーインフレ」 が起きてもおかしくない状況である。
 金利を0%にしてもその資金を借りて何かをしようとする者がでてこない状況を描いた 「資本主義の終焉 (第815回)」 を書いたのは2014年7月のことである。
 資本主義の終焉とは取りも直さず 「ケインズ経済学の終焉」 でもある。 そうであれば、その述べるところの需要と供給では経済は制御されないことを意味する。 その結果としての超金融緩和策を継続してもインフレが起きないということか? そうであれば、その資本主義経済理論(ケインズ経済学)を土台としている 「自由主義社会もまた終焉に向かう」 のか? そして遂には 「貴方は自由だ 私は自由だ」 という自由主義は時空の彼方に去り、その自由を決めるのは中央集権的権力を掌握した権力者である 「〇〇様だ」 ということになってしまうのか? 未来への視界は限りなく不透明であるとともに、暗雲が重く垂れ込めている。

2018.10.08


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