Linear 未知なる時空を訪ねる旅の途中でめぐり逢った不可思議な風景と出来事
知的冒険エッセイ / 時空の旅
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この世の主役とは
 いつのことであったか「責任転嫁」と題して以下のような主旨を書いた。
 人が楽しくないのは取巻くこの世の状況が楽しくないからであるとする考えは間違いである。そうでなければ悲惨な時代に生まれた者の人生はもはやそれだけをもって改善不能である。この世は楽しいとか楽しくないとかの人間感情に基づいて存在しているわけではなく「ただそのままに」存在しているのである。人が楽しくないのは単にその人が抱く思いが楽しくないということであって、その原因をこの世に責任転嫁することはできない。
 以上の思考展開を還元すれば「この世にはしかとした色合いはなく、楽しいと思えば楽しく、楽しくないと思えば楽しくない」ということになる。それはこの世は思いから生まれるという「唯識論的世界観」の様相でもある。 もしそうであれば、この世の万物事象(物的存在)は人生の背景であって決して主役ではない。背景でしかない万物事象に過去と未来の存在意義や喜怒哀楽の思いの是非を質してみても詮ないことである。 諸行無常。 この世における「すべての責任」は主役である「自らの思い」に依っている。 このことからは誰も免れることはできない。

2017.12.25


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