Linear 未知なる時空を訪ねる旅の途中でめぐり逢った不可思議な風景と出来事
知的冒険エッセイ / 時空の旅
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科学の終焉〜真理はお金にならない
 科学は終焉したと言われる。 確かに科学の本道とされてきた重厚長大な物理学は量子論に関わる超ひも理論に至って頭打ちとなってその先に進まない。代わって台頭してきたのは軽薄短小な複雑系やカオス理論等に関わる情報科学や、iPS細胞やゲノム編集等に関わる生物科学等々である。
 これらの状況は単なる思考過程の変質というよりは経済的理由に根ざしているように観える。ひとことで言えば「お金にならない科学は探求しない」ということである。それは理念よりは実益が優先される現代の社会世相と歩調を同じくする。
 科学の探究は「未知なるものへの挑戦」であるからしてその中にお金になるか否かなどの処世の業が介入する余地は本来はないはずなのだが、現代の科学探究は「すぐものになる未知なるもの」という但し書きが付箋されている。
 ものになるとは、つまりは「お金になる」という経済的成果のことに他ならない。仮にこの付箋を度外視して未知なるものに挑んだとしても研究費を出す企業や団体はほとんどないであろう。それは国の政策においてさえ50歩100歩である。国に利益をもたらさない研究は税金の無駄使いというわけである。
 つまり、科学は終焉したわけではない。人々の求めるものが永遠の真理から目先の実益に変わっただけである。
 勿論のこと永遠の真理を夢見て日夜の研鑽を積み上げている科学者もいないわけではないが、その数は今や絶滅危惧種に指定されている「イリオモテヤマネコ」や「クニマス」に匹敵するほどに希少ではあるまいか? だがそれより問題なのは人々の憧れから永遠の真理が消失してしまうことにある。これが未来に何を将来するかはよくよく考えてみなければならない。

2017.09.01


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