Linear 未知なる時空を訪ねる旅の途中でめぐり逢った不可思議な風景と出来事
知的冒険エッセイ / 時空の旅
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宇宙の絶対的基準とは
 アインシュタインが確立(1905年の特殊相対性理論)した「相対性理論」の依って立つ根拠は「あらゆる場所で光の速度は一定である」とする「光速一定」の定義である。それまでの物理学はニュートンが確立(1687年の自然哲学の数学的諸原理)した「ニュートン力学」が自然法則の根拠としてゆるぎない地位を保っていた。ニュートン力学が依って立った根拠は「あらゆる場所で時間が一定に経過する」という「時間一定(絶対時間)」の定義である。
 宇宙で唯一絶対の根拠(基準)として何を選ぶかはその後の展開に決定的に重大な影響を与える。当然にして導き出された結論もまた天と地ほどに大きな違いとなる。
 光速一定を絶対的基準として論を構築したアインシュタインの相対性理論は、それまで絶対的基準としてニュートンが依って立っていた絶対時間の概念を覆してしまった。「時間の経過は場所によって異なり一定ではない」という相対性理論の帰結である。ともなって導き出された「空間もまた伸縮する」という帰結は、それまでの常識的概念を根底から否定するものであった。
 世界を驚天動地させた相対性理論から100年余りが経過したが今もなお新たな絶対的基準は見つかっていない。時間でも光速でもない宇宙で唯一無二の絶対的根拠とは何か? それが見つかれば、我々がとらえている宇宙風景も一変することになるであろう。

2017.04.24


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