Linear 未知なる時空を訪ねる旅の途中でめぐり逢った不可思議な風景と出来事
知的冒険エッセイ / 時空の旅
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あの日から6年〜誰のために何のために
 2011年3月11日、午後2時46分に発生した東北大震災から6年の歳月が経過した。震災による死者(行方不明者含む)は2016年3月10日時点で18.455人に及ぶ大災害である。まさにそれは20世紀末に予言された「人類の終末」がわずかに遅れて到来したかのようであった。神話になっていた原発の安全も脆くも崩れ去り、今なお解決の道筋はたっていない。被ったダメージは日本社会の根幹にまで及んで事態は思っている以上に深刻である。
 その日からというもの、視点は遠方から直近に、期待は未来から今日明日に、ビジネスは堅実からギャンブルに、と変移し、頻発するオレオレ詐欺は減少する兆しさえみえない。希望が枯渇して心から潤いが失われれば「その日暮らし」の生活に陥ることは無理からぬことである。
 被災地に向かって「頑張れ頑張れ」と叫んでみても、大切な人を失った今、いったい「誰のために」頑張ったらいいのか? しかして「何のために」生きたらいいのか? 今、「最も必要なもの」というのであれば、まぎれもなくその「生きる力」そのものではあるまいか。

2017.03.11


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