Linear 未知なる時空を訪ねる旅の途中でめぐり逢った不可思議な風景と出来事
信州つれづれ紀行 / 時空の旅
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高山村 しだれ桜 / 長野県上高井郡高山村
おぼろ月夜の世界
 北信濃に位置する高山村は、「しだれ桜の里」として知られている。村内には約20本のしだれ桜があり、そのうちの半数が樹齢200年を越す。中でも水中の桜、坪井の桜、黒部の桜、赤和観音の桜、中塩の桜は、高山五大桜と呼ばれている。その内から「坪井の桜」、「水中の桜」を撮影したが、濃い黄砂が陽射しを遮る日よりでは、色鮮やかにとはいかなかった。
 5月連休に花見とは少々、時季はずれの感は否めないが、菜の花と桜のコラボレーションは、この地特有の風情であろう。ちなみに少し北に行くと、唱歌「朧月夜(おぼろつきよ)」を作詞した高野辰之が生まれた豊田村に至る。「おぼろ月夜の世界」は、かくこのような北信濃がもつ牧歌的風土から生まれたのである。
※)坪井のしだれ桜 : 樹高約10m、幹周約8m、樹冠約16m、樹齢約600年(村1番)。
※)水中のしだれ桜 : 樹高約22m、幹周約4m、樹冠約12m、樹齢約250年。
   水中のしだれ桜は映画「北の零年」(吉永小百合主演)でオープニングシーンに登場した。
朧月夜(おぼろづきよ)/高野辰之 詞、岡野貞一 曲
菜の花畑に 入日薄れ
見わたす山の端(は)
霞(かすみ)ふかし
春風そよ吹く 空を見れば
夕月かかりて 匂い淡し

里わの火影も 森の色も
田中の小径(こみち)を
たどる人も
蛙の鳴くねも 鐘の音も
さながら霞める 朧月夜
2011.5

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