Linear 未知なる時空を訪ねる旅の途中でめぐり逢った不可思議な風景と出来事
信州つれづれ紀行 / 時空の旅
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八島湿原 / 長野県諏訪郡下諏訪町
昭和の面影
 春まだ浅い八島湿原である。東日本大震災の影響であろうか、5月の連休中といえど観光客の姿はめっきりと少ない。例年であれば入る車が列をなす駐車場も、今日は場内もガラガラ、整理員も手持ちぶさたである。
 昨年秋には湿原を周回する遊歩道を一周した。今回はそれとは逆回りで半周し、もとのところに引き返した。その半周行ったところに、米山正夫、詞曲の「山小舎の灯」の石碑が、背高い草もうの中に、寂しくぽつんと立っていた。昭和22年、近江俊郎が歌ってヒットした青春歌謡が、何ゆえに、この地に石碑となっているのかわからないが、碑に刻まれた歌詞を読んでいるうち、かってあったであろう「昭和の面影」が彷彿と甦ってきた。
 山小舎の灯/米山正夫 詞曲
黄昏の灯は ほのかに點(とも)りて
懐かしき山小舎は ふもとの小径よ
思い出の窓に凭(よ)り 君を偲べば
風は過ぎし日の 歌をばささやくよ

暮れゆくは白馬か 穂高は(あかね)茜よ
樺の木のほの白き 影も薄れゆく
寂しさに君呼べど わが声むなしく
はるか谷間より こだまは帰り来る

山小舎の灯は 今宵も點りて
独り聞くせせらぎも 静かに更けゆく
憧れは若き日の 夢をのせて
夕べ星のごと み空に群れ飛ぶよ
2011.5

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