Linear 未知なる時空を訪ねる旅の途中でめぐり逢った不可思議な風景と出来事
信州つれづれ紀行 / 時空の旅
Linear

須川湖畔 / 長野県上田市
昔の光いまいずこ
 上田市の南西、小牧山の山中、標高およそ700mの地点にある周囲長3Km、水深4.6mほどの池であり、周囲をカラマツの森林が囲んでいる。いにしえの昔、信濃国分寺にあった鐘の音色に魅せられた男がその鐘を盗み出したが、追っ手に気づくと鐘を須川湖に投げ捨てて逃げうせ、その後、この鐘が国分寺恋しさのあまり夜ごと鳴り出すという「須川湖の沈み鐘」の伝承がのこされている。
 須川湖には小学校の1年か2年生頃に連れてきてもらった記憶がある。遙か50年以上も前のことである。その当時の須川湖は池にボートが浮かび湖畔を周遊する歩道も広く、観光客でにぎわっていた。その程度の歓楽がせいぜいの贅沢という時代であったが、なぜか世界が光で満ちあふれていたことを覚えている。昔日の面影は今や湖畔から消え失せていたが、湖面に突き出た木に登って怒られた記憶をたよりに、その「思い出の木」を探すも特定するにはいたらなかった。50年といえば半世紀である。無理もない話ではあるのだが・・・。
2010.12

copyright © Squarenet