Linear 未知なる時空を訪ねる旅の途中でめぐり逢った不可思議な風景と出来事
信州つれづれ紀行 / 時空の旅
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野尻湖 / 長野県上水内郡信濃町
閑寂の湖景
 春まだ浅い野尻湖である。この地で北信五岳と呼ばれる飯縄山、戸隠山、黒姫山 、妙高山、斑尾山の5つの独立峰にはいまだ残雪がしっかりとはりついている。北信濃の春はこれからなのである。すぐ近くに住んだ小林一茶の「これがまあ 終のすみかか 雪五尺」の句が思い浮かんだ。それにしても湖畔に人影が皆無なのはどうしたことか・・・。

 思い起こせば(40年ほど昔にさかのぼることになろうか)、かってこの地は軽井沢と肩を並べる高級避暑地(リゾート)として、国内外からの観光客でおおいににぎわい、わが世の春を謳歌していたのである。湖畔の船着き場に立つドライブインの壁面は色あせ、赤白のストライプに装飾されたテラスフードにはほころびが目立つ。今やその中に往時の隆盛を偲ぶのみである。

 だがしかし・・・時空はそうすてたものではなく、生々流転、いつの日か、かっての輝きが、再びめぐって来ることは過去の歴史が証明するところである。
2009.4

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