Linear 未知なる時空を訪ねる旅の途中でめぐり逢った不可思議な風景と出来事
知的冒険エッセイ / 時空の旅
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詩心をもった物理学〜線形と非線形の狭間
 人工生命の研究で知られる米国のクリストファー・ラングトンは以下のようなことを述べている。1949年生まれというから私と同世代のカオスと複雑系を探求する科学者である。
 「・・・ 詩は言葉をきわめて非線形的に扱っていて、そこでは詩の言葉の部分の寄せ集め以上の何かが語られる。 だが科学では逆に線形的で言葉の部分の寄せ集め以上のものは意味しないように要求されている。 しかし、現実には部分の寄せ集め以上の何かが存在するわけだから、部分同士の関連だけを扱う伝統的な手法では多くの系の本質を把握するには十分でなくなってきている。 私は詩よりも科学的な手法でそれを行う方法がないとは断言しないが、文化的にみて未来の科学には詩的な要素が多くなってくるだろうと思っている ・・・」
 第992回では「詩心をもった物理学者」として、ワームホールやブラックホールの命名者でもあるジョン・アーチボルト・ウィーラーについて述べている。専門分野は異なってもクリストファー・ラングトンもまた詩心をもった科学者のようである。
 以下蛇足ではあるが、科学を記述する線形的原語表現は法律や契約を記述する原語表現と同類である。法律文書や契約文書が言葉の部分の寄せ集め以上のものを意味するような非線形的なものであっては本来の目的や機能が達せられない。だが希にその則を超えて思わぬ名言になる場合がある。その好例を「秋山真之の風景〜本日天気晴朗ナレドモ波高シ(第870回)」で描いている。

2017.01.19


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