Linear 未知なる時空を訪ねる旅の途中でめぐり逢った不可思議な風景と出来事
知的冒険エッセイ / 時空の旅
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天の計らい
 歴史を俯瞰するとき、それぞれの歴史場面で彼らが「どう動き」、その結果として歴史が「どう動いた」かが問われる。
 放送中のNHK大河ドラマ「真田丸」における豊臣から徳川への成り行きもまた同様である。 その時、石田三成はどう動いたのか、そして徳川家康は、しかして真田信繁はいかに ・・ である。
 だが彼らにとって、かく為しえた選択肢の他に、いったいどのような選択肢があったというのであろうか? 事は必然の成り行きのようにみえる。 すべては天の計らいであったと ・・・。
 古代中国の皇帝は、天地万物を支配する神としての「天帝」を祀ることを義務とした。 歴史の興亡はひとりの個の能力や計らいでどうなるものでもない。 それは天の意志を担った皇帝によってのみ可能であったのである。
 もし個としての人間にできることがあるとすれば、自ら計ることではなく、天の計らいに同化することであろう。 知謀天翔る人とはそういう人である。 ここに至って人は単なる生きものを超えた存在へと昇華するのであろう。
知謀天翔る(第824回

2016.08.22


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