Linear 未知なる時空を訪ねる旅の途中でめぐり逢った不可思議な風景と出来事
知的冒険エッセイ / 時空の旅
Turn

このままでは
 あらゆる情報が地球上を飛び交う現代、人は何をどのように自らの内に取り入れ人生を醸成し完成させようとするのか?
 飛び交う情報のほとんどは「既成」であって、自ら創りあげるものなど、なにひとつ見あたらないように思える。仮に運よく「何かが」見つかったとしても、たちまちのうちにそれは「市場化」され、「商品化」され、しかして「換金化」されてしまう。
 かって「生きて 何もしていないこのままでは 死ぬことなどできない」と嘆いた彼に出逢ったことがある。彼の嘆きからすれば「かくなる現代社会では」いかに死ぬことができようか?
 戦国時代に生きた武士の大半は戦場で華々しく死ぬことを願った。畳の上で死ぬことなど不名誉このうえないことであったのである。今放送中のNHK大河ドラマ「真田丸」に登場する面々などその代表的な人々であろう。なかでもドラマの主役である真田信繁(幸村)などは、後世「日本一の兵(ひのもといちのつわもの)」との誉れに満ちた人生を完成させた稀有なる幸運に恵まれた武将である。
 その最期は戦国最後の戦いとなった大坂夏の陣でみせた真田兵法ここにありの空前にして絶後の激闘であった。 享年49歳、確かに「戦の勝負」には負けたかもしれない。 だが「人生の勝負」にはまさしく勝ったのである。
 いつかはみな死ぬ 今は苦しくても 死ぬときに誰も出来ないことをやったと思えたら それでいいじゃないか ・・・ / NHKの人気番組 「プロジェクトX」の登場人物がつぶやいた言葉である。

2016.08.06


copyright © Squarenet