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未知なる時空を訪ねる旅の途中でめぐり逢った不可思議な風景と出来事

知的冒険エッセイ / 時空の旅
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王陽明に思う(1)〜心即理
 「真理は自由平等である」とは陽明学を創始した王陽明(1472〜1529年)の言である。真理とは宇宙を統御する「宇宙の天秤」であって人間の思惑には左右されない。他方、社会を統御する規範、法律、倫理等で構成された「人倫の天秤」は人間の思惑が創りだしたものである。さまざまな人間のさまざまな思惑で混乱してしまった現代社会を正常なものにするためにはこれらの思惑から脱却した宇宙の天秤に回帰する以外に手立てはない。
 その手立てのための努力に「これといったもの」は必要ない。人倫の天秤は人智で創られた存在であるからして、使用するにあれこれ考えなければならないが、宇宙の天秤はそもそも人智を超えた存在であるからして、使用するに考える必要などはまったくない。「ただ受容するだけ」で事足りる。ただそのためには、受容する心を常に錬磨し曇らぬようにしておく工夫がいる。修身である。還元すれば、修身とは宇宙の真理を我が身中の心に一致させ、一体化させる工夫である。陽明はそれを「心即理(心は即ち理である)」という簡潔な思想に集約したのである。
王陽明に思う(2)〜知行合一 / 第936回
王陽明に思う(3)〜致良知 / 第959回

2016.05.30


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