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未知なる時空を訪ねる旅の途中でめぐり逢った不可思議な風景と出来事

知的冒険エッセイ / 時空の旅
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強欲資本主義の終焉〜幸福方程式が語るもの
 先進国が主導した経済至上主義というグローバルスタンダードもどうやら限界にきたようである。世界を物質的な豊かさへの欲求でコントロールしようとする手法は貧しさから脱しようとする経済の初期段階では効果的に機能した。 経済至上主義とは経済が成長すれば人々は豊かになるとする政策である。日夜に渡りこの政策に邁進した先進国は計画どうりの豊かさを手に入れることに成功した。
 だが物質的な豊かさだけをもってしてそれが必ずしも人間の幸福と断ずることはできない。限界とはそのことである。 以下の「幸福方程式」とする文章は科学哲学エッセイ「Pairpole」(平成11年2月28日初版第1刷発行)に載せたものである。
幸福方程式
< 幸福度は次の関係式で表される 幸福=所得/欲望 >
 幸福度を向上させて幸福になろうとしたら欲望を今のままにして所得を増やすか、あるいは所得が今のままなら欲望を減少させるかである。現代社会は所得も増すが欲望も増す。これではいつまでたっても幸福感を得ることはできない。これからの日本は所得が頭打ちとなっていくであろう。最も確実な方法は欲望を減少させることであり、それは今日からでも実現可能である。
 遡る20年ほど前に書いたものであるが、方程式の数値は向上するどころか、日増しに低下の一途をたどっている。物質的な豊かさが増進すればするほど、欲望もまたそれに倍加する勢いで増え続けているのである。 「強欲資本主義」と呼ばれる状況がそれである。
 「資本主義の終焉」については第815回(2014.07.03)で書いている。 だが事態はその後さらに進み、今や金利はマイナス金利となっている。 強欲資本主義もまた、自らの内に潜在する矛盾の顕在化によって、そう遠からぬ日に終焉がおとずれるであろう。 そのあとに何があるのか ・・ これまた視界不良で見通すことができない。

2016.04.11


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