Linear 未知なる時空を訪ねる旅の途中でめぐり逢った不可思議な風景と出来事
知的冒険エッセイ / 時空の旅
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完全矛盾
 デフレ脱却を目指した経済政策「アベノミクス」は今、消費拡大のためには「給料を上げる」ことが必要だとして、あの手この手を使って東奔西走している。だが私にはどうにも納得できない疑問がある。
 仮にあの手この手がうまくいって給料が上がったとすれば、それは日本企業の人件費がさらに高騰することを意味する。企業の人件費が高騰すれば、日本の労働力の国際競争力はさらに低下し、低賃金労働力を保持する国々の労働力にとって代わられるだけであって、雇用の拡大にはつながらないのではないのか・・?
 給料が上がったとしても雇用が奪われてしまっては本末転倒である。そのような帰結を多くの日本人労働者が望んでいるとは思えない。かといって給料が上がらなければ消費拡大など期待できないし、ましてやデフレ脱却など望むべきもない。右にも左にも行けない「完全矛盾」である。疑問とはそのことである。

2015.04.22


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