Linear 未知なる時空を訪ねる旅の途中でめぐり逢った不可思議な風景と出来事
知的冒険エッセイ / 時空の旅
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考える脳
 考える脳の分類として左脳と右脳という区分けがある。左脳が認識力や論理性を司ることから、左脳派と呼ばれる人の思考は具象的、現実的であると言われている。かたや右脳が直感力や情緒性を司ることから、右脳派と呼ばれる人の思考は抽象的、夢想的であると言われている。人間にとってはどちらの脳も必要不可欠であり、バランスよくハイブリッドされていることが理想であろうが、左脳派と右脳派が混在するのが、この世の現状である。

 あるとき、右脳派の友人に「時間は過去・現在・未来と流れていると思われているが・・実は過去と未来は現在に含まれていて・・状況に応じて現在に象出するのだ・・あの壁にもたれている人を見るがいい・・彼の周りには今、過去が象出している」と話したとたん、彼は「わかった!」と感嘆の声をあげた。同じことを左脳派の友人に話したら、冷ややかに鼻で笑われた。

 また右脳派の友人に「魂には姿かたちがない・・だからこそ人はそれぞれ異なった姿かたちをしているのだ・・でなければその人の魂をそれと判別することができない・・いうなれば、顔かたちや、姿かたちは魂の衣装であり、魂のパフォーマンスなのだ・・ボロは着てても心は錦というたとえもある」と言うと、彼は「最近はキンキラの錦を着てても心はボロボロという人しか見ないがね・・」と長嘆息を漏らした。この会話を左脳派が聞いていたら「彼らは少し脳に障害がでている・・時代はここまでおかしくなってしまったか・・」と長嘆息を漏らすに違いない。
2013.12.25

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