Linear 未知なる時空を訪ねる旅の途中でめぐり逢った不可思議な風景と出来事
知的冒険エッセイ / 時空の旅
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絶対的時空間から相対的時空間へ

 宇宙の主体が物質であり、時間と空間(時空間)がかかる物質の付属物であるとすれば、A物質には個有のA空間とA時間が、B物質には個有のB空間とB時間が・・等々と、それぞれ個有の物質に応じた「さまざまな」空間と時間が存在する。例えば、100の物質があれば、100通りの時空間が存在する。

 つまり、貴方の世界(時空間)と私の世界(時空間)は同じではなく個別に異なる。前項で時空間が各個別物質の「自己主張(パフォーマンス)」であるとした所以である。

 あらゆる物質を取巻く時空間は「たったひとつ(絶対的時空間と呼ぶ)」とする考えは、17世紀における、ニュートンの「プリンキピア(自然哲学の数学的原理)」時代の概念であり、20世紀における、アインシュタインの「相対性理論」時代以後は、あらゆる物質にはそれぞれ「個別個有の時空間(相対的時空間と呼ぶ)」があるとする概念に転換されなければならないのであるが、300年近くの歳月が経過してなお「ニュートンの亡霊のごとく」我々の認識を拘束しているのである。

2004.10.12

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