Linear 未知なる時空を訪ねる旅の途中でめぐり逢った不可思議な風景と出来事
知的冒険エッセイ / 時空の旅
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出発点は終着点

 時間が流れるものであり、その流れが永遠(無限)であるとすれば、未来に向かって永遠の時間が「存在する」とともに、過去においても永遠の時間が「存在した」ことになる。

 フランスの数物理学者、ポアンカレはもし無限の時間があるとすれば、あらゆる物事は繰り返すことを数学的に証明した。有名な「ポアンカレ循環」である。
 ビリヤードの球を減速させる摩擦抵抗等がまったく作用しない状態を仮定すれば、ビリヤード台上で運動する複雑な球の運動状況はいずれは初期条件に戻り、その後は同じ運動を繰り返すことになる。

 したがって過去に無限の時間が存在したとすれば、よく言われるように神が昼寝でもしていない限り、この世のすべての出来事は、とうに何回か(無限の回数)同じことを繰り返したことになる。つまり、この世で起きるべき出来事は、すべて「すでに起きてしまった」ということである。

 以上からすれば、今の今という「現在」は、この世の生々流転の「出発点」であるとともに「終着点」でもある・・また、今の今という「現在」は、この世の諸事相の「原因」であるとともに「結果」でもある・・さらに、今の今という「現在」は、この世が「進歩発展」した風景であるとともに「退歩衰退」した風景でもある・・・。

 出発点は終着点であり、終着点は出発点である・・完成は未完成であり、未完成は完成である・・繁栄は衰退であり、衰退は繁栄である・・・。

 かかる思考はやがて終局に至り・・生は死であり、死は生となる・・・・。

2004.7.01

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