Linear 未知なる時空を訪ねる旅の途中でめぐり逢った不可思議な風景と出来事
知的冒険エッセイ / 時空の旅
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月日は百代の過客
 俳人、松尾芭蕉の「奥の細道」の冒頭は・・・月日は百代の過客にして行かふ年も又旅人也。舟の上に生涯をうかべ、馬の口とらえて老をむかふる物は、日々旅にして旅を栖とす。古人も多く旅に死せるあり。予もいづれの年よりか、片雲の風にさそはれて、漂泊の思ひやまず・・・と始まる。

 日々旅にして旅を住みかとした芭蕉をして、時間そのもが旅人のように思われたのであろうか・・?

 人は時とともにやって来て、時とともに去って行く・・・。

 宇宙は「時空」と呼ばれ、「時間」と「空間」のふたつの要素で構成された世界であるが、この構成要素である「時間」と「空間」の意味を正確に解明した人は、未だこの世にいない。

 空間は時間を連れてやって来る・・・そして、時間は空間を連れて去って行く・・・。

 「そのバスは8時にバス停に来るのではない、バス停に来た時に8時なのである」

 この世の、あるべき事象は、あるべき時間(時)に、あるべき空間(場所)で、起きる。

 まさに、時空は宇宙を漂泊する旅人であり、また百代の過客のようである。

2003.12.11

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