Linear 未知なる時空を訪ねる旅の途中でめぐり逢った不可思議な風景と出来事
知的冒険エッセイ / 時空の旅
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羊飼いの混迷
 では自己意思と自己保存の両方が獲得される世界の認識化(抽象化)とはいったいいかなるものか・・?

 羊の群と羊飼いの対比で言えば、羊から羊飼いになることと言えるかもしれないが、必ずしも羊飼いがこのふたつの人間目的を獲得しているとは言えない。
 羊飼い(権力者)の上には、さらなる羊飼いのリーダ(さらなる権力者)が存在しているのであり、その上にはまたさらなる羊飼い(さらなる権力者)が存在しているのが現実社会の構造である。

 つまり、羊飼い(権力者)とても、羊の群(畜群)と「五十歩百歩の違い」でしかない。現代社会の実情に鑑みれば、羊の群の中にいるよりも羊飼いの方がさらに自己意思と自己保存がままならない状況であるとも言えるのである。

2003.10.14

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