Linear 未知なる時空を訪ねる旅の途中でめぐり逢った不可思議な風景と出来事
知的冒険エッセイ / 時空の旅
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過去・未来の実在性
 我々は、実際に眺めることができ、直接に手を触れることができる現在という「刹那宇宙」に生きている。

 この現在という刹那宇宙が、時間軸に添って積層されて構築された宇宙が「連続宇宙」であり、一般に言う「過去」と「未来」の世界である。

 誰しも、過ぎ去った「過去にこだわり」、訪れる「未来におののく」のであるが、この過去への「こだわり」と、未来への「おののき」の本質とはいかなるものであろうか・・?

 過去へのこだわりが度を越すと、人は「鬱病」になり、未来へのおののきが度をこすと、人は「分裂病」になるといわれる。これらの精神病の本質は、実際に眺めることができず、また直接に手を触れることができない連続宇宙(過去・未来の世界)の存在感を、意識世界の中で、喪失してしまった状況である。

 これらの病状に陥らないためには、過去と未来という「意識世界に構成」されている連続宇宙が、実際に眺めることができ、また直接に手を触れることができる刹那宇宙(現在の世界)を、時間軸に添って積層することにより構築した世界であることを、常に念頭において生きることである。

 つまり、今日が駄目でも、明日があるのであり、勝負は下駄を履くまで解らないのである。時間が経過すれば、悲しみは、やがて喜びとなり、不運は、やがて幸運となるのである。

 連続宇宙としての「過去・未来の実在性」とは、まさに「このようなもの」である。

2003.6.11

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