Linear 未知なる時空を訪ねる旅の途中でめぐり逢った不可思議な風景と出来事
知的冒険エッセイ / 時空の旅
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刹那の威力(二)
 刹那の威力は日本刀の煌めきに表象される。

 Pairpole宇宙の構造から導かれる「合計0の宇宙法則」は我々に何をやっても結果は同じというニヒリズムをもたらすが、このニヒリズムを突破する道はPairpoleの狭間にある「刹那空間」にある。

 刹那空間とは時間軸に垂直な超因果的な空間であり、心理学者ユングの言う共時性が発現する空間である。また現在と過去・未来の狭間、暗と明の狭間、夜と昼の狭間(朝靄と夕霞、曙と黄昏)であり、かぎろいとおぼろが支配する世界である。

 刹那空間では、常に何ものかが生まれ続け、また同時に何ものかが死に続けている。

 それは時間も空間もない生死混沌の世界であり、存在と無が混濁し、発生と消滅が混濁するカオスの宇宙である。

 時間軸に添って構成されている連続宇宙ではPairpole宇宙の「合計0」の宇宙法則が万物事象の存在を制約しているが、時間軸と垂直に構成されている「時間0」の刹那宇宙ではPairpole宇宙の合計0の宇宙法則はまだ有効性を獲得していない。

 ここに我々が陥る「合計0のニヒリズム」の陥穽から脱出できる可能性が存在する。

 刹那の威力とは「このこと」である。

 我々が今の今という「時間0」の刹那を知覚し、意識の覚醒を為せば、この刹那の威力を行使することが可能になる。

 古今、勝負は常に一瞬の刹那に存在し、研ぎ澄まされた日本刀の一閃の煌めきは、その威力の切れ味と、凄みを象徴しているのである。

2002.11.05

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